日本の森林政策・国有林の特徴 〜海外との比較&成立の経緯を知ってより詳しくなろう〜

森林・林業
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以前日本の森林を管理するための計画制度についてご紹介しましたが、
今回は日本の森林管理政策を海外と比較しながらその動向について紹介していきたいと思います。

※以前投稿した日本の森林計画制度をまとめた記事はこちら!

【森林計画制度】どんな法律が日本の森林を管理しているの?【森林・林業基本計画/全国森林計画/市町村森林整備計画/森林経営計画】
この記事を読むと、森林・林業基本計画や全国森林計画、市町村森林整備計画、森林経営計画などの日本の森林計画について簡単に説明できるようになります。

 

森林法の特徴

森林法とは、森林の資源を守るために森林に対する人間の行為を制限する法律で、農水大臣が責任者です。

森林に対する人間の行為とは、簡単に言うと木を切って伐採することです。

森林法はアメリカ以外はほぼ全部の主要国にあるよ。

日本の国有林の成立・海外との比較

日本の国有林の始まり

国有林も各国にありますが、日本の国有林の成立は江戸時代の全国の藩が持っていた藩有林を母体にした入会林を政府が吸収してできました。 『入会林』は『にゅうかいりん』ではありません。

『いりあいりん』と読みます。

入会林とは?

 

入会林野とは、集落などの一定地域の住民が昔からの「きまり」や「おきて」などの慣習に従って、木材や薪や炭、家畜の飼料や堆肥を作る草などを採取するために使用している地域の共有林のことです。

引用元はこちら

日本の国有林の成立は、入会林野を各地方から集めたことで作られたのです。

資本主義の時代らしいですよね。

 

また、昔から続く入会林は草地や広葉樹林が多かったので、今の針葉樹ばかりの人工林とは土地を占める優占種が異なりますね。

 

海外との比較

視点を変えて今回のテーマである外国との比較を行うと、ドイツやフランスでは私有林まで国が面倒を見ますが、日本は公有林でさえ、私有林の取り扱い枠としている点が挙げられます。

これは森林を民営化していこうという意図で、一時期他の主要国でも国有林の民営化の流行がありました。(今はないです)

 

日本も戦後国有林を民営化しよう!という流れが強い時期があったのですが、2010年ごろの民主党への政権交代の時期にこの案はボツになって、国有林は一般会計として取り扱うことになりました。

※この時期の国有林野取り扱いについてはこちらの記事をご覧ください。

平成22-23の国有林野事業の見直し【ちょっと前の国有林管理の動向】
この記事では、国有林に関して政府が平成22年から23年にかけて行った政策について振り返ります。 最近の国有林野事業の動向に関しては、こちらの記事を参考にしてください。 国有林は、業界では国有林野という呼び方が...(続きを読む)

 

 

さらに、国有林を構成する樹種を比較すると、
日本の国有林を占める植栽樹トップ3が

・スギ ・ヒノキ ・カラマツ

 

であるのに対し、他国で一般的なのは

・トウヒ、マツ、ユーカリ

です。

※日本の人工林資源について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

日本の森林整備の動向をわかりやすく解説【林業基本法/水源林造成/分収林/齢級】
今回は少しバラバラな内容が混在しますが、日本の昭和〜平成にかけての森林整備の動向について ・法律 ・植林面積 ・樹種 ・事業 の面からわかりやすくまとめます。 分収林特別措置法,水源林造成事業,林業基本法,分収林 などのキーワードが登場します。

 

日本の人工林では在来種の針葉樹を植えていますが、海外では外来種を主要樹として植える国もあります。

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森林を守る方法 〜保安林で守るか、森林計画制度で守るか〜

 

次に、森林資源を守る政策について紹介します。 何から森林を守るかというと、森林を経営者による多面的機能をおろそかにする伐採から守るのです。

 

 

その方法は2つあります。

一つは”保安林”を作ること、もう一つは”森林計画制度”によって守る方法があります。

 

保安林を指定することで森林を守る

 

保安林とは、その森林のもつ機能に合わせて伐採禁止などの厳しい制限をかけてその森林を守っていく森林です。

特に裸地を作ってしまう皆伐は禁止されることが多く、部分的な伐採である択伐でもその後の再造林が義務付けるなど、森林を破壊することに対して厳しい制限が設けられています。

なお、日本の森林のうちの約4割が保安林です。

 

森林計画制度を指定することで森林を守る

 

では、保安林以外の6割の森林はどのようにして守るのでしょうか。

先ほど述べたように、残りの森林は森林計画制度を使って守っていくことになります。

【森林計画制度】どんな法律が日本の森林を管理しているの?【森林・林業基本計画/全国森林計画/市町村森林整備計画/森林経営計画】
この記事を読むと、森林・林業基本計画や全国森林計画、市町村森林整備計画、森林経営計画などの日本の森林計画について簡単に説明できるようになります。

 

この記事でスケールごとの森林計画制度は紹介しているのですが、日本には、政府規模から都道府県、市町村と順に

全国森林計画>地域森林計画>市町村森林計画>森林経営計画

と階層構造で全国の森林を隅々まで管理していく仕組みが設定されています。

土地面積が大きいこともありますが海外ではここまで出来ている国はないので、全国規模の森林計画制度は日本の強みです。

森林計画制度の問題点

 

全国を階層的に管理する諸々の森林計画制度は日本の森林管理の優れていることなのですが、仕組みばかりが先行してしまって、中身のない形骸化が懸念されています。

 

また、海外では近年注力されている住民参加型の森林経営や環境影響評価が弱い点も今後の課題となっています。

 

 

日本の森林政策の特徴 まとめ

 

いかがだったでしょうか。

今回は以前も取り扱ったことのある国有林についてその成立経緯を紹介してみました。

また、海外との比較も行ったので日本の森林管理についてより深く知っていただけたかなと思います。

また、森林を守る方法は保安林に指定することと森林計画制度に入れることの2つがあることも覚えていってくださいね。

最後までご覧下さり、ありがとうございました。

 

・参考文献:石井寛、神沼公三郎『ヨーロッパの森林管理』

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